①乾燥肌

皮膚の一番外側は、体内からの水分の蒸発や、外からの異物の侵入を防ぐバリアの役割を果たします。食品にかけるラップフィルムのようなイメージです。バリア機能を保つには、皮膚の細胞が規則正しく並び、細胞と細胞のすき間をセラミドが埋める必要があります。

アトピー性皮膚炎では、皮膚の細胞をつくるタンパク質が不足して皮膚がはがれやすくなり、また、セラミドが不足して細胞同士のすき間が広がります。その結果、バリア機能が低下し、水分が蒸発したり、外部から刺激物が侵入したりします。
これが乾燥肌の状態です

normal

dry

②アレルギーによる炎症

わたしたちの体には「免疫機能」が備わっており、細菌やウイルスなどの異物が体内に入ると、免疫細胞がこれらの異物を攻撃して排除します。炎症は、この免疫細胞の働きによって起こります。
アレルギーを持つ人では、免疫細胞のバランスが崩れており、ダニやほこり、花粉などに過剰に反応して炎症を起こします。このアレルギーを起こす物質をアレルゲンと呼びます。

アトピー性皮膚炎の人は、特に皮膚の免疫細胞のバランスが崩れており、刺激物に過剰に反応して炎症やかゆみを引き起こすことが知られています。

immunity

③かゆみ

乾燥肌の状態では、かすかな刺激でもかゆみが発生しやすくなります。かゆみを鎮めるために肌を引っかくと、皮膚が傷ついてさらに刺激を受けやすくなり、また、異物が皮膚の内側に侵入しやすくなります。

皮膚に異物が侵入するとアレルギーによる炎症が起こりますが、同時に、かゆみを脳に伝える物質が過剰に作られ、さらにかゆみが強まります。
このような悪循環によってアトピー性皮膚炎の症状は悪化していきます。

cycle

【参考】

1)日本皮膚科学会ほか. 日皮会誌. 131(13): 2691-2777,2021.

2)椛島健治・宮地良樹編. エビデンスに基づく アトピー性皮膚炎治療 あたらしい潮流(初版). 中山書店:p14-17, 2019. 

2022年8月作成 CIB46M001A
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